~プレイエルの魅力~
プレイエルの響鳴板は世界で一番高価と言われる北イタリアのアルプス、フィメー地方の赤もみの木(トウヒ)を使用しています。この地方の赤もみの木は、ヴァイオリンの名器”ストラディヴァリウス”に使用されているものと同じで、冬目がギザギザになっていて、比重が軽くて柔らかく、響鳴板として使用した場合、音の伝達速度が速いため、板全体がよく振動して鳴りがよいのが特徴です。その為、分離度の良さからポリフォニーの処理能力に優れ、フレーズの一つ一つ、音の一つ一つのデリケートなニュアンスの違いが他の音に干渉されず、立体感のある響きとして耳に残り、”シンキングトーン”と言われるブリリアントで余韻の深い響きを作り出します。
~プレイエルとショパン~
『プレイエルピアノは銀の鈴を鳴らしたようなやわらかい音色だ』…F.ショパン
ショパンは「気分が優れないときにはエラールを弾き、気分のいいときにはプレイエルを弾く」と残しています。気分が優れ、インスピレーションの表現、自らの内なる声を音にしたいときには、プレイエルが最も自分の分身として相応しいと言う事でしょう。ショパンは39年という短い生涯の中で、膨大な楽曲を残し、そのほとんどがピアノ曲でした。そして、パリのサル・プレイエルでのデビューコンサート以来、終生プレイエルのピアノを使い続け、1849年、生涯最後の演奏会の会場としてもサル・プレイエルを選び、人生の幕を閉じました。ショパンの人生はプレイエルと共に歩み、プレイエルによりショパンの音楽も誕生したといっても過言ではないでしょう。
その他、コルトー、グリーグ、サンサーンス、ストラヴィンスキー等、多くの作曲家、演奏家も自らの世界を表現する為のパートナーとして、プレイエルピアノを愛用しました。